SAPHO症候群とは
SAPHO(サッフォー)症候群は、特徴であるSynovitis(滑膜炎)、Acne(ざ瘡・湿疹)、Pustulosis(膿疱症)、Hyperostosis(骨化過剰症)、Osteitis(骨炎)の頭文字を取り命名されました。重度の湿疹に伴う関節炎、掌蹠膿疱症性骨関節炎、膿疱性乾癬、尋常性乾癬に伴う骨関節炎などを含んでおり、何らかのアレルギーが関連しているのではないかと考えられています。
関節炎が先行するタイプ、皮膚症状が先行するタイプ、両者が同時に発症するタイプがあります。関節炎は、前胸部や手足、脊椎、鎖骨などに痛みや腫脹、発赤などを伴います。
日本においては10万人あたりの年間発症0.00144人と,まれな疾患であるため、診断基準、治療指針とも確立されておらず、ガイドラインは存在していません。
※ 病気について詳しくはこちらをご覧ください。(本文内、参照しております。)
・大阪大学大学院医学系研究科 SAPHO症候群 SAPHO syndrome
どんな症状?(わたしの場合)
わたしの場合、最初は単なる肩こりのようでした。普段から肩こりがひどく、週に一度は整骨院に通うほどです。一日中、座りながらパソコンにむかって仕事をしているので、職業病のようなものです。
ですが、いつもの肩こりとは何かが違う、違和感を感じていました。
右肩に痛みがあるのですが、その日によって、鎖骨のあたりが痛かったり、肩甲骨のあたりが痛かったりと痛いところが定まらず、痛みの強さだけはどんどん酷くなって、市販の解熱鎮痛剤では効かなくなっていきました。
整骨院の治療では全く改善しなかったので、先生に勧められてまずは近所の整形外科を受診しました。
レントゲン撮影による診断は特に異常は見つからないとのこと。右鎖骨をよく見ると、少し腫れていると言われ、自分でも初めて気付きました。
整形外科の先生によると、痛みが移動するのは、鎖骨は内側の端が胸骨とつながり、外側の端は肩甲骨とつながっているので、鎖骨に痛みが出るとつながっている骨にも痛みを感じるのではないかとのことでした。
とにかく、痛みが日に日に強くなり、そのまま様子をみる余裕もない状態でしたので、大学病院のリウマチ内科へ紹介状を書いていただきました。元々、膠原病の皮膚筋炎を持病として抱えているので、急に悪化したのではないかという不安もありました。
大学病院では、鎖骨の痛みと、これまでの皮膚筋炎の経過について話しをしました。鎖骨に痛みが出る特徴的な病気としてすぐにSAPHO症候群を疑われたようです。一般的には手に水泡のような湿疹ができる掌蹠膿疱症が合併症としてみられるのですが、わたしは全く湿疹がないので、いくつかの検査をして確定診断をする運びとなりました。
検査入院
大学病院のリウマチ内科を初めて受診したその日に、検査入院を勧められました。病気の確定診断をするには、いくつもの検査が必要なのですが、通院での検査だと日数が掛かって治療開始も遅れてしまうとのことでした。最初は2週間と言われたのですが、なるべく短期間で済むようにお願いをして、入院することになりました。
我が家はひとり親家庭なので、私が入院すると子供たちの食事や学校へ持っていくお弁当、洗濯や朝はちゃんと起きて学校へ行けるのか、心配事がたくさんあります。入院するのは下の子の出産以来でかなりお久ぶりです。慌てて必要なものを買い揃えたり、もしもの事を考えて、子供たちの父親へ連絡をしたりと色々準備に追われました。
今回の入院は検査が目的です。
・MRI ・CT ・シンチ検査(骨)・歯科検診 ・唾液量ガムテスト ・血液検査
シンチ検査は今回が初めてだったので、興味津々でした。
他のMRIやCTは子供の頃から何度も受けているので、慣れたものです。MRIの検査中、爆睡してしまう程です。(笑)
骨シンチグラフィ検査
シンチ検査(骨)は全身の骨のようすを写真に撮って、癌の骨転移、外傷等による微小骨折など、X線検査ではわかりにくい様々な骨の状態を詳しく調べることができる検査です。治療の前後で調べて治療の効果をみたり、疲労骨折や骨粗しょう症による骨折を早期に発見したりするのに用いられています。
検査は先に特殊な薬を注射します。治療のために飲む薬とは違いますから、少し怖いと思いつつ、時々テレビで紹介されている検査なので少しワクワク感もあります。注射のあとは時間をおいてから撮影をします。
私の場合は主に上半身の撮影になります。痛みのある鎖骨と歯に炎症があるか確認をします。
なぜ歯?と思うでしょう。SAPHO症候群はまだ謎の多い病気です。発症の原因の1つとして、口腔内からの細菌感染が考えられています。その為、合わせて歯科検診も受けています。
検査の結果、私は虫歯もありませんし、口腔内の骨に炎症もみられませんでした。SAPHO症候群が発症した原因は口腔内からではないとはっきりしました。
右鎖骨にはハッキリとした炎症がみられ、SAPHO症候群と診断する判断材料となりました。
※ 詳しくはこちらをご覧ください。(本文内、参照しております。)
・日本メジフィジックス株式会社【骨の検査】骨シンチグラフィ検査を受けるにあたって
治療と経過
SAPHO症候群の治療は今のところ確立していません。私の場合はとにかく右鎖骨の痛みがひどいので、まずは痛み止めとしてロキソプロフェンを処方されました。そして、皮膚筋炎と合わせてステロイドでの治療が始まりました。
鎖骨周辺に痛みを感じ始めてから(2021年9月末)、痛みが落ち着くまで(2021年12月末)約3か月間、その間の2か月は痛みで生活にも支障が出て、生きているのがつらいと思うほど痛かったです。痛み止めを飲んでも少しおさまる程度で、時間も短時間ですぐに激痛がおそってくる繰り返しでした。家庭でも職場でも心配をかけてしまいました。
ステロイドによる治療を開始してから少しずつ痛みがおさまり、徐々に痛み止めを飲む回数も減っていきました。数種類の薬を飲み始めてから、1週間も経たないうちに痛みが和らいできたので、かなり効果があったと思います。
現在、退院して通院にて治療を続けているのですが、痛みが完全に無くなったわけではありません。時々痛みを感じ、痛み止めを飲みことはなくなりましたが、またあの激痛がおそってこないか不安になります。
この病気は痛みを繰り返す傾向にあるので、慎重に様子をみていきます。
同時に、掌蹠膿疱症の症状が出ていないかも観察していきます。
私の場合は、もともと皮膚筋炎という膠原病を患っていたので、鎖骨の痛みという1つの症状からSAPHO症候群まで早く結びついたのだと思います。
ある意味、運がよかったのかもしれません(笑)
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